【感想・解説】ヘレディタリー/継承(Hereditary)
・ヘレディタリー/継承について
2018年11月30日公開の、ヘレディタリー/継承を公開日に見て参りました。(公開日に見た割に書くのが遅すぎやしないかね)
アメリカ映画ですね。原題はそのままで、Hereditary。意味としては、遺伝の〜とか、代々の〜とか、先天性の〜とか。副題とだいたい同じような感じです。
「遺伝」というと、あ〜何かまぁしょうがない事だなぁ〜みたいな感じがするなぁと思うし、実際観てもそんな感じがしました。
さて、監督・脚本はアリ・アスター。なんでも、これが長編デビュー作らしいですが…私は結構好きです。次作にも期待したい!
主演はトニ・コレット。恥ずかしながら彼女については知らなかったので、調べたことですが、シックス・センスに出演されてたんですね。
現代ホラーの頂点!とか、トラウマになる…!と言われていた映画ですが、果たしてどんな映画なんでしょうか??
あらすじから見ていきましょう!
・ヘレディタリー/継承のあらすじ
祖母エレン・リーを亡くした一家グラハム家の母であり、エレンの娘アニーはある日エレンの遺品から彼女宛の手紙を見つける。
それから、一家には不思議なことが起き始める。そして、ついに最悪の事故が…。
それをきっかけに一家は次第に崩壊していく。心が憔悴しきったアニーに謎の女性ジョーンが接近してくる。ジョーンはアニーの目の前で降霊術を試みる。
アニーは縋るように、その降霊術を行うが…。
そしてアニーは衝撃の真実を知る…。
とまあこんな感じですが、いや、どのシーンも重要な気がして、ネタバレを避けてあらすじとするとどうもぼやっとしたものになってしまいますね。
・ここからネタバレ!ヘレディタリー/継承の解説
ここからはネタバレになります。この映画はきっと、ネタバレ無しで観た方が面白いと思うので、是非観た後にでも読んでいただければと思います。
解説と言っていますが、いつも通り、ただ考えたことを何も考えずにに書いていきます。(矛盾してる?)
とりあえず登場人物をサラッと見ておきましょう。
エレン・リー…祖母。アニーの母。チャーリーの面倒をよく見ていた。何やら怪しげな集団にいたようだが…?
↑アニー・グラハム…ミニチュアの製作を仕事にしている。夢遊病。
スティーブン…アニーの夫。セラピスト?
↑ピーター…グラハム家長男。アニーと仲が悪い。マリファナを吸っている。
↑チャーリー…グラハム家長女、ピーターの妹。内気で、絵や図工が好き。ナッツアレルギー。
ジョーン…アニーに接近する。息子と孫を亡くしているらしい…。エレンと知り合いだったことが判明する。
主要キャラはこんなとこですね。
グラハム家の祖母、エレンが亡くなり、一家が葬式に行くシーンから始まります。エレンさん、綺麗な方ですね。彼女の首にはネックレス。アニーの首にも同じマークのネックレスが。
(Wikipediaより転載)
さてこの、バースデーケーキみたいな形のマーク。
実はこのマークは、悪魔ペイモンのシジル(シギルとも)なんです。
後で出てきますが、このペイモンというのが、エレン率いるカルト教団が信奉していた悪魔。
母エレンを亡くし精神的に不安定になったアニーは、夫に「映画に行く」と偽って集団セラピーに参加します。
一方チャーリーは授業中に工作をしたり、鳩の首をちょん切ったり(怖っ!)、靴を履かずに外へ出たり、不思議ちゃん三昧。
彼女はエレンに育てられました。母乳も彼女があげて…。オカルト集団に好き放題利用されているのはほぼ間違いなさそうです。
そしてピーターはマリファナをスパスパ…
ピーターとアニーの仲は微妙なようです。なんでも、アニーが寝ている間にピーターとチャーリーに火をつけて殺そうとしたとか。(彼女は夢遊病です)
まぁあまり健全とも言えない家庭みたいですね。
そして事件が起きます。パーティに誘われたピーターは、チャーリーも連れていくという条件で車を借り、パーティに赴きます。
女の子に誘われたピーターはチャーリーを置いて、マリファナをスパスパしに行ってしまいます。
置いてけぼりのチャーリーは知らずに、アレルギーのナッツ入りケーキを食べてしまい呼吸困難に。慌ててピーターは病院へと車を走らせます。
猛スピードで車を走らせる中、鹿の死体を避けるためにハンドルを切ったところ、窓から出ていたチャーリーの頭が電柱に激突…。
ピーターは錯乱し、そのまま家へと帰ります。
翌朝首のないチャーリーの死体を見つけ、アニーは絶叫…。首は道路に置き去りにされ、蟻が集っていました(オエッ)
あまりよく見えてなかったのですが、ピーターが事故を起こしたあの電柱にも何か模様がありましたね。流れ的にはこのペイモンのシジルでしょうか。
つまりあの悲惨な事故は、偶然ではなくカルト集団の力によるものであったのではないかと推測できますね。恐ろしい…。すべてはピーターの体を手に入れるため…。
さて、偶然とはいえピーターの起こした事故(仮)でチャーリーが亡くなってしまい、元々良好ではなかったアニーとの仲も悪化します。怒鳴り合いの大喧嘩…。
落ち込むアニーの元に接近してきたジョーンという女性が、降霊術を教えてくれます。
興奮気味のアニーは、嫌がる夫と息子と共に教えて貰った降霊術を試みますが、次々起こる恐ろしい現象に男性陣はガクブル😨夫が儀式を強制終了します。
次第に追い詰められていく一家…。
アニーは屋根裏部屋でエレンの首なし死体を見つけます。エエーッ!!!???!?そしてエレンの秘密も。さらにジョーンは、カルト集団の一員だったのです!
一方ピーターは授業中にペイモンに取り憑かれ、顔を机に強打し鼻の骨を折ります。警告のようですね。
さすがに危険を感じたアニーは、チャーリーを降臨していた媒体であったチャーリーのスケッチブックを燃やすことを決意します。
前に試して、スケッチブックと共にアニーも燃えてしまうことを知っていたので、夫のスティーブンに頼みます。自分では(自殺するようなものなので)恐ろしくてできないからと。
しかしスケッチブックを火に入れた途端、まさかのスティーブンが大炎上!!アニーは絶望し叫びます。アアーッ!!!!あのね、スティーブンが1番可哀想だね。
ここでアニーにペイモンが憑依!絶叫顔から一変、スンッ…と真顔になります。あぁ…これは憑依…。
眠っていたピーターが目を覚ますと静寂。父と母を探しますが、そこで見たものは父の焼死体。そして憑依された母。天井にへばりついてるよ…怖っ。
物凄い速さで襲ってくる母から逃れ、屋根裏部屋へ。(アニー、めっちゃ天井張り付いてヘドバンしてるよ!!!)そこで、目に穴の空いた自分の写真(小学生みたいなイタズラですね)、祖母の首なし死体や、ゴリゴリと自分の首を切断する母アニー、そして白塗りの変な人達…こんなん見たら発狂モノですね。
ピーターは屋根裏部屋から窓を破って飛び降ります。バリーン!ドサッ
…生死は定かではありませんが、倒れているピーターの体に青い光がスーッと入っていきます。起き上がったピーターは、チャーリーがよくやっていた、上顎を舌で弾く癖をやってみせます。「コッッッ」
青い光はペイモン…と考えて良さそうですが、そうなるとペイモンはずっとチャーリーに入っていたと考えられますね。面白い。
屋根裏部屋へ着くと、不思議な儀式。首なし死体が彼にひれ伏し、謎の女性(ジョーン?)が語りかけます。「チャーリー、」と。ペイモン≒チャーリー説はほぼ間違いなさそうです。この記号を使うといろいろ語弊があるかもしれませんが、語彙力の限界…。察してください。
そして信者達がペイモン万歳〜!🙌ってとこで映画は終わります。微妙に余韻を残した終わり方、いいですね。
さて、細部見ていきます!
①青いモヨモヨについて
随所で出てくる、光のような青いモヨモヨ。どうやら、グラハム家の人間に現れるようです。
・チャーリー…モヨモヨが現れた後、奇行に走る。
・アニー…夫が焼死し絶望、絶叫していたが、青いモヨモヨが現れるとスンッ…と真顔になる。
・ピーター…顔面を強打する。
ちょっと記憶が薄れてきて実は確証がないのですが、こんな感じだったかと。恐らく他にもありますね。
このモヨモヨは、ペイモンだと思われます。ペイモンの力とか、なんかそういう…。多分モヨモヨがあらわれるのは、一時的に取り憑かれたって事なんでしょう。
ちょっとモヨモヨの描写が難しいので、観てきた皆さんは記憶で補ってください。あったよねモヨモヨ💥
②首なし死体
首って何か鍵になってるんでしょうか。チャーリーは首が取れて亡くなりますし、エレンの死体も首なしになってしまう。取り憑かれたアニーは自ら首をギコギコと切り落とす…。
最後のツリーハウスの中では、首のない体がピーター(ペイモン)にひれ伏しています。
そして可愛そうなチャーリーの首が、偶像らしき物の頭部に使われています。なんとも罰当たりなことですね〜!!!
ところで、キービジュアルって言うんですかね、ポスタービジュアル?あのアニーとチャーリーの写真ですが、チャーリーの目の前にある緑の小物、あれもひれ伏した首なしの体の形ですよね。その前にはネズミの頭。意味深ですね(分かってない)
③チャーリー
チャーリーはカルト集団のリーダーエレンによって育てられました。
母アニーは、エレンが一家の男性に危害を与えることを何となく感じていたため、長男ピーターを遠ざけ、代わりにチャーリーを預けていました。(チャーリーに対してアニーはこのことで罪悪感を感じています。)
実はエレンの所属したカルト集団は、ペイモンを憑依させる肉体を求めていて、ペイモンは男の体に憑依する必要があったのです。
エレンはチャーリーが男の子だったらいいのに、というようなことを口にしていました。
チャーリーの癖(上の方で書きましたが)などを考えても、チャーリーにペイモンが憑依していた(知識が薄いのでこのように書きますが、憑依以上まで行っちゃってた可能性も有り)と考えて良さそうです。
恐らく、ピーターの体が手に入らないので一時的にチャーリーを器にしていたのでしょう。
それが、エレンが亡くなってから信者達はピーターの体を狙い、活動を始めた…と。
エレンは最後の方に出てくる写真で「女王」と書かれていますし、このカルト集団の所謂トップだったと見られます。トップが死んだら次のトップが必要ですよね。
遺品の本にあるように、ペイモンに必要なのは男の身体ですから、カルト集団は強行手段に出たんですね。恐ろしい…。
④ペイモン
ペイモンは他の場所ではパイモンとも呼ばれますね。発音の違いです。
ペイモンによって芸術の才能が与えられるようですが、チャーリーは図工が得意だったのもそういうことでしょうか。
ペイモンによる恩恵は富。えぇ…犠牲の割に普通だししょぼいじゃん。
アニーもある意味芸術の才能を持っていますが(ミニチュア)、彼女はどういう存在だったんでしょうか。彼女がカルト集団のネックレスをしていた(多分何も知らずに)のも気になりますし、何よりエレンの娘ですから多少影響を受けていたんでしょうかね。
⑤アニーとピーター
夢遊病で子供をやき殺そうとする(状況を見るに、自分も一緒に死のうとしていた?)なんて、普通じゃないはずです。何か意図があったのか。
また、これは夢だか夢遊病だか現実だか分かりませんが、アニーはピーターに向かって、彼を流産したかったと打ち明けます。ショック!!
しかしこれらの行動は、エレンから彼を守るためと考えることもできます。もともとエレンから守るためにピーターを遠ざけていましたし、アニーは、母のせいで父と兄が苦しんだことを知っています。息子を同じ目に合わせないために………というのは、深読みでしょうか?
⑥ミニチュア
ここまで見ていくと、ところどころ出てくるミニチュアの演出が気になりますね。なぜ作り物のミニチュアと、現実を繋げて見せているのか…。
映画を最後まで見ると、この一連の出来事はペイモンを信奉するカルト集団によって計画的に起こされた事ではないかと分かってきます。
ミニチュアの演出はこの真実を、暗に示しているのではないかと私は考えます。
⑦じゃあ、継承とは?
さて、彼らは祖母エレンから何を継承したのでしょう???
うーん、私にはわかりません!!!
可能性としては、ペイモンだったり、カルト集団のトップの座だったり…。まぁひょっとしたら「何」ってことはないのかもしれませんが。
キャッチコピー(?)では、「受け継いだら死ぬ!」的なことを言ってますね…物騒な。でもエレンさんもちゃーんと、「犠牲」って言ってますからね。そのエレンさんの言う犠牲とそれに伴う恩恵が、継承の内容なんでしょうか。
まぁ確かに、死にましたけども。
皆さんどう思います?
※余談ですが、エンドロールがいいですね。「継承」って感じします。
前の人の文字が次の人の文字に…って…(語彙力)
・ヘレディタリー/継承の評価
見た最初の感想は、な、なんだこれは〜っ!て感じでした。良くも悪くも。
ジャンルとしてはオカルトなんでしょうが、この映画をただのオカルト映画と思って観てしまうととても勿体無いような気がします。
オカルトとしては、まぁ面白いとは思うんですが正直、怖くはないというか…。この映画の怖さはまだ別のところにもあるというか…。
所謂、ほんとに怖いのは人間〜みたいな話(ヒトコワ)とはまた少し違いますが、その類の…でもそういう怖さも実はオカルトの一部なのか…?とか考えていると、観た後はあんなに「もう観たくない!」と思っていたのに、また観たくなってきました。そんな作品です。
びっくり ★☆☆☆☆
気味悪い ★★★☆☆
グロい ★★★☆☆
セクシー ★☆☆☆☆
寝れない ★★★☆☆
実を言うとそんな寝れないほど怖いわけではないのですが、ラストにかけてのあのシーンの凄まじさを評価してこの点です。心臓の弱い方は、観るなら心して観てください。
わたくし自身観た後はしばらくため息が止まりませんでしたが、私の隣で観ていた外人のお兄さんはしばらく呆然としていました。分かるよ。
いい映画でした。オカルト好きだしね。
みなさんも良かったら観てみてください。おすすめは誰かと一緒に。観たあとのあのなんとも言えない気持ちが緩和されます。(多分)
一人で観るなら、そのなんとも言えない気持ちをぜひ共有してください!